消えた書類といきなり現れた遺言書、そして謎を解くカギの別紙の出現に翻弄

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久子の部屋から突然消えた書類…そこに潜む謎は

事件が起きたのは、それから数日後に全員が集まった中だった。

久子の部屋を整理していた遥が、突然声を上げた。

「……ない」

「何が?」

孝子が聞いた。

「銀行関係の書類。ここにまとめて置いていたはずなのに」

部屋の中を探した。

引き出し。

棚。

書類箱。

しかし、見つからない。

光子が言った。

「孝子さん、何か持っていない?」

「私?」

「久子さんのものを整理していたでしょう」

「だからって、私が持っていく理由なんてないでしょう」

「でも……」

今度は孝子のほうが光子を見た。

「じゃあ、光子さんは?」

「私は何も持っていないわ」

二人の声が次第に強くなっていく。

そのとき、遥が言った。

「兄さんは?」

全員が光一を見る。

「俺?」

「久子さんの部屋に入ったことは?」

光一は一瞬だけ黙った。

しかし、すぐに答えた。

「ある。でも、書類なんて触ってない」

「本当に?」

「俺を疑ってるのか?」

光一の声が響いた。

遥は何も言わなかった。

ただ、部屋をもう一度見回した。

そして気づいた。

書類は、ただなくなったのではない。

引き出しの中に、微かな乱れがある。

他のものはほとんど動いていない。

誰かが目的のものだけを探したようだった。

遥は心の中で思った。

――この人は、どこにどの資料があるか、詳しく知っていた。

本物の遺言書出現:法定通りの遺言内容だったが、別紙が新たに出現

その後、久子に管理を依頼されていた弁護士から連絡があり、久子の遺言書が届けられた。

四人は集まった。

誰もが緊張していた。

光子は、自分の名前を探していた。

光一も、自分に有利な内容を期待していた。

孝子は、ただ姉の最後の言葉を知りたかった。

そして遥は、何か別のことを恐れていた。

遺言が読み上げられた。

しかし――。

そこには、誰か一人を特別に優遇するような内容はなかった。

光子への特別な遺産もない。

光一への特別な遺産もない。

孝子だけを優遇する内容でもなかった。

久子は、残された財産について淡々と記していた。

そして最後に、家族に向けた言葉があった。

「私が亡くなったあと、家族同士で争うことのないようにしてください」

部屋に沈黙が落ちた。

孝子は目を伏せた。

「姉さんらしい……」

小さくつぶやいた。

ところが、最後の一文を聞いた瞬間、遥の表情が変わった。

そこにはこう書かれていた。

「ただし、私が本当に心配していることについては、別紙に記しました。」

「別紙……?」

光子が顔を上げた。

しかし、その肝心の別紙はどこにもなかった。

いきなり現れた「別紙」に戸惑いながらも、その別紙を懸命に探す四人

その瞬間から、状況は変わった。

光子は思った。

――別紙には、私への本当の遺産のことが書かれている。

光一は違った。

――俺に不利なことが書かれている。

そして、その紙を誰かが隠している。

光一は焦った。

「別紙なんて、本当にあったのか?」

遥が答えた。

「遺言にそう書いてある以上、あったんでしょうね」

「でも、どこにあるんだ?」

「それを探しているんじゃない」

光一は遥を見た。

その目には、かつてない警戒心が浮かんでいた。

一方、孝子は一人で考えていた。

姉が最後に書いた、

「本当に心配していること」

とは何なのか。

遺産のことではない。

家族のことだ。

では、久子はいったい何を恐れていたのか。

久子の日記:そこには光一への疑惑が記されていた。

数日後。

遥は、久子の部屋に残されていた古い日記を見つけた。

何気なくページをめくっていた。

仕事のこと。

体調のこと。

孝子との電話。

昔の思い出。

そして、あるページで手が止まった。

そこには、久子の文字でこう書かれていた。

「光一について、孝子にはまだ話していないことがある。」

遥は息を止めた。

「……光一、兄さん?」

何度も読み返した。

間違いなく、光一の名前だった。

さらにページをめくろうとした。

しかし、その先のページは破られていた。

遥は日記を閉じた。

胸の中で、これまでの出来事が一本につながり始めていた。

謎の男。

宛名のない封筒。

消えた書類。

存在するはずの「別紙」。

そして、久子が死の前に残した言葉。

――光一について、孝子にはまだ話していないことがある。

遥は窓の外を見た。

久子が生きていた頃の高田家は、決して裕福でも特別でもなかった。

それでも、家族として普通に暮らしてきた。

ところが、久子が亡くなった途端、その関係が少しずつ壊れ始めている。

遥は思った。

「伯母さんは……これを予想していたの?」

そして、もう一つの可能性が頭をよぎった。

「別紙は、遺産を誰かに渡すために書いたものじゃない……」

遥は日記を強く握った。

「光一から、家族を守るために書いたんじゃ……」

その瞬間、玄関のほうから物音がした。

遥は振り返った。

誰かが帰ってきたのかと思った。

しかし、そこには誰もいなかった。

ただ、玄関のドアがわずかに開いていた。

そして――

テーブルの上に置いていたはずの日記が、少しだけ動いていた。

遥は息をのんだ。

誰かが、この日記を見ている。

そう思った。

そして高田家の相続問題は、単なる遺産の取り分をめぐる争いではなくなっていった。

久子が最後に残した「別紙」。

そこに書かれているのは、誰かへの財産ではない。

家族には決して知られたくなかった、光一の秘密なのかもしれない。

そして、その秘密を久子は、死ぬ前から知っていた。

プロフィール
ツネジイ
ツネジイ

はじめまして、70代男性です。

急に小説を書き始めました。
パリ旅行関連の情報を書いていましたが、間違った情報を発信してはいけないと強いプレッシャーを感じていました。
それで、自由に書ける小説を始めてみました。。
小説は、本当は別ブログにすべきですが、どこまでできるか分からないので、このブログ内に描きます。
良かったらご覧ください。

仕事を終えたのを機に、憧れだった夫婦のパリ旅行を実現しました。
出発まで1年かけて図書館で徹底的に調べ、実際に現地を2週間強体験。
その中で感じたのは、事前準備をすればパリは大人世代でも安心して楽しめるということでした。

このブログでは、
・初パリの夫婦旅・一人旅でも安心できる情報
・70代目線での注意点や移動のコツ
・実体験に基づくリアルなアドバイス
をお伝えしています。
これからパリを訪れる方の、不安を減らし、旅をより充実させるお手伝いができれば嬉しいです。

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