この物語の始まりは1本の電話からだった。

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警察から電話があったのは、夕暮れの、家の中がいちばん静かになる時刻だった。

「高田久子さんのことで……」

その名前を聞いた瞬間、松山孝子は、胸の奥に冷たいものが落ちていくのを感じた。

姉だった。

高田久子。孝子より少し年上の姉。長いあいだ一人で暮らしていた。

「お姉さまが……亡くなられました」

警察官の声は淡々としていた。

孤独死だった。

孝子は電話を握ったまま、しばらく言葉が出なかった。

死んだ。

姉が。

ついこの間まで、この世のどこかで息をしていたはずの人が、もういない。

「いつ……ですか」

ようやく絞り出した声は、自分のものではないように聞こえた。

警察官からいくつかの説明を受け、遺体の引き取りや、その後の手続きについて話を聞いた。

電話を切ると、孝子は椅子に座り込んだ。

夫が心配そうに顔を覗き込む。

「どうした?」

「姉さんが……亡くなったって」

それだけ言うと、孝子は顔を覆った。

泣き声は出なかった。

悲しみより先に、やらなければならないことが、次々と頭の中に浮かんできたからだった。

遺体はどうするのか。

葬儀は。

親族への連絡は。

役所への届け出は。

家の中の荷物は。

そして、納骨は――。

悲しむ暇さえ与えられないほど、現実は容赦なく押し寄せてきた。

プロフィール
ツネジイ
ツネジイ

はじめまして、70代男性です。
仕事を終えたのを機に、憧れだった夫婦のパリ旅行を実現しました。

出発まで1年かけて図書館で徹底的に調べ、実際に現地を2週間強体験。
その中で感じたのは、事前準備をすればパリは大人世代でも安心して楽しめるということでした。

このブログでは、

・初パリの夫婦旅・一人旅でも安心できる情報
・70代目線での注意点や移動のコツ
・実体験に基づくリアルなアドバイス

をお伝えしています。

これからパリを訪れる方の、不安を減らし、旅をより充実させるお手伝いができれば嬉しいです。

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