「ローマの休日」は、ローマの観光名所の魅力を余すことなく伝えた映画でしたが、この「ミッドナイトインパリ」もパリの観光スポットを世界に広めた作品です。
ミッドナイト・イン・パリの概要
「アニー・ホール」「それでも恋するバルセロナ」のウッディ・アレン監督・脚本によるラブコメディ。
ハリウッドで売れっ子の脚本家ギルは、婚約者イネズと彼女の両親とともにパリに遊びに来ていた。 パリの魔力に魅了され、小説を書くためにパリへの引越しを決意するギルだったが、イネズは無関心。2人の心は離ればなれになり……。
パリの名所をちりばめた、パリの観光映画ナンバーワン。ローマの「ローマの休日」と並ぶ最高傑作。
あらすじと観光スポット(ネタバレ注意)
最初にパリの観光スポットのランドマーク、エッフェル塔とか、凱旋門とか、セーヌ川とかが次々に出て変に懐かしさを感じさせる。
モネの家と庭園
アメリカの映画脚本家のギルは、いつかパリに住み小説を書きたいと願っている。しかし、彼の恋人イネズはパリに全く興味を示さない。
<モネのスイレン>
エッフェル塔とセーヌ川
二人はイネズの両親とパリに旅行し、滞在ホテルでイネズの知り合いポール夫妻に会った。そして一緒にヴェルサイユ宮殿や、パリ市内の美術館を巡ることになった。
ヴェルサイユ宮殿
観光地を巡るうちに、ギルはインテリぶるポールと一緒に回るのが嫌になる。
ロダン美術館
<ゴッホのタンギ爺さん>
ロダン美術館の建物自体は、もとは貴族の邸宅で、ロダンがアトリエとして使い、そして暮らした「ビロン館」 です。 1911年にフランス政府がビロン館を買い取ることとなったときに、この館を気に入っていたロダンが、 自己の作品及びコレクションを国家に寄付するので、美術館として残して欲しいと提案し受け入れらました。 ロダンの死後の1919年に開館し、2005年に改修されています。 ロダンの数千点に及ぶ作品を所蔵しています。 またそれは貴族の邸宅だったので、広くよく手入れされた庭があります。ちょっとインテリぶって説明!
オランジュリー美術館
オランジュリー美術館が特に有名なのは、クロード・モネの「睡蓮」の連作を展示していることです。 これらの大規模な絵画は円形の部屋に収められ、特有の光と空間の中で鑑賞されることが意図されています。 オランジェリー美術館の建物自体は、ナポレオン3世がテュイルリー宮殿に建てたオランジュリー(植物園やシトラスの木を保護するための建物)を利用しています。 オランジェリー美術館では、アーチ型の天井と自然光が豊富な空間が印象的で、絵画が最良の形で鑑賞できるように工夫されています。 また、クロード・モネ以外に、パブロ・ピカソ、アンリ・マティスなど、印象派およびポスト印象派の著名な芸術家たちの作品を所蔵しています。またまたインテリぶって!
華やかな世紀末へタイムスリップ
ギルはポールやイネズの両親と付き合うのが嫌で、一人で夜の街を彷徨いサンテティエンヌ・デュ・モン教会の石段に座っていた。
サンテティエンヌ・デュ・モン教会
そこに突然目の前にクラシックカーが止まり、誘われるまま乗り込んで、そこから1920年代にタイムスリップした。
<サンテティエンヌ・デュ・モン教会> ↑この石段に座っていた 下に拡大写真>
<左側の石段に座っていた>
レストラン「ポリドール」
ギルが次に行った店は、レストラン「ポリドール」。1845年の創業当時から内装もほとんど変わらず、今も健在の老舗だ。 そこで、ヘミングウェイと知り合い、彼の信頼する人にギルの原稿を読んでもらう約束をする。。 翌日、ヘミングウエイと会うと、一緒にいたピカソ、ピカソの恋人アドリアナと会い、彼女に好意を持つ。
サン・トゥアンの蚤の市( クリニャンクールの蚤の市)
2010年のパリに戻ったギルは、イネズとサン・トゥアンの蚤の市。そこでギルは、コール・ポーターの音楽に魅かれて入った骨董品店で、ガブリエルと知り合う。
<蚤の市 お宝の宝庫?>
ブキニスト
イネズとアドリアナとの間で揺れ動くギルだが、古本市(ブキニスト)でアドリアナが書いた古い手記を発見する。そこにアドリアナが自分に好意を持っていることを知り、意を決して再び過去の世界へと向かう車に乗り込んだ。
ムーラン・ルージュ?
再会を果たしたその夜、ふたりの前に現れたのは、19世紀末の馬車だった。その馬車に乗り込んだギルとアドリアナは、パリが最も華やかだったベル・エポックの時代へと再タイムスリップ。そこで画家のロートレックやドガ、ゴーギャンたちと出会う。
20年代に生きるアドリアナは19世紀末のパリの虜になり、自分はこの時代に残ると、ギルに別れを告げる。芸術家は自分の時代より前の時代が、いつでも最高と感じるという理論のようだ。19世紀末は、ルネッサンスに憧れ、ルネッサンスは、ギリシャ・ローマに復活する活動だった。 実際この映画のころのパリは、多くの移民とか、テロの問題とかもまだ表面化してなかったから、今から見ると「前は良かった」かもしれないな。
最終章
ヴェルサイユ鏡の間
ギルの後をつけていた探偵は、ヴェルサイユ宮殿に紛れ込んでしまい、発見されてヴェルサイユの衛兵に追っかけられる。(ウッディ・アレン監督は、前半にヴェルサイユ宮殿が庭しか出せなかったので、どうしても主役の鏡の間を出演させたかったのかな、この部分はなんとなくつじつまが合わない感じがした。…主役も多すぎるとストーリーに苦労するのかな)
「アレクサンドル3世橋」
ギルはパリに残ることを決めて、イネズとも別れパリでの生活を始める。
ギルがアレクサンドル3世橋に行く前に、シェイクスピア・アンド・カンパニーから出てきたので、単に書店で本を探していたのかと思っていたが、ここではベット13脚置いてあって、貧しい作家志望の若者を支援しているところらしい。
<シェイクスピア・アンド・カンパニー>
そして、パリでの新しい生活を予感させるように、セーヌ川にかかるアレクサンドル3世橋でガブリエルと出会い、雨に濡れながら二人で歩き始める。最後はローマの休日のように重々しくならず、ちょっといい感じで終わったのが、ウッディ・アレン監督らしいな。(めでたし、めでたし)
<アレクサンドル3世橋>