世界最古のデパート
ル・ボン・マルシェの誕生
日本ではまだ江戸時代だった1852年に世界初の百貨店「ル・ボン・マルシェ」がブシコーという商人夫婦によってパリ左岸のバック通りにできました。
彼は初めて商品をショーケースに展示して見せることを思いつきました。
そして陳列販売に加えて定価表示と特別な体験が味わえる空間を作り上げ、「マガザン・ド・ヌヴォテ」（新しい店）としてデパートの営業をスタートしました。
デパートの基礎を作りあげたブシコー夫妻は、今までにない豪華な店としてのデパートのイメージをパリ中に広めました。
この時期、産業革命が進行し、中産階級が増加したことにより、デパートは新しい消費文化の象徴となりました。
パリのデパートは、単なる買い物の場所ではなく、社交場や文化の発信地としても重要な役割を果たしてきました。
次々に生まれた有名なデパート
4年後の1856年にはパリで2番目い古い庶民派デパート「BHV」が完成します。
その後1867年には「ル・ボン・マルシェ」で働いていたジュール・ジャリューゾがオペラ座の北側に「オ・プランタン」を開店しました。
プランタンのできた年に元衣料品店だった「ラ・ベル・ジャルディニエール」（美しき女庭師）もオープンしています（現在は存在しません）。
その2年後には「ラ・サマリテーヌ」がセーヌ河付近にオープン。
現在日本人によく知られているオペラ地区の「ギャラリー・ラファイエット」は他のデパートからは数十年遅れて1893年の世紀末に生まれました。
こうして19世紀の後半に、パリで有名なデパートが次々にオープンしました。そのため、この時代は大衆文化が花開いた時期でした。
20世紀に入りデパートの設備やサービスはさらに改良されていき、今ではショッピングに欠かせないパリ観光の一部として多くの観光客や地元のパリジャンに親しまれています。
フランス文化とデパートの関係
文化の発信地としての役割
パリのデパートは単なるショッピングの場ではなく、文化の発信地として機能しています。例えば、ギャラリー・ラファイエットやル・ボン・マルシェは、定期的にアート展示会やファッションショーを開催し、芸術とファッションのトレンドを発信しています。これにより、デパートは文化的な交流の場となり、地元の芸術家やデザイナーの活動を支援しています。
社交の場としてのデパート
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、パリのデパートは新しい社交の場として発展しました。特にル・ボン・マルシェは、上流階級や中産階級の女性が集う場所として人気を博し、女性の社会進出やライフスタイルの変革に寄与しました。デパート内のカフェやレストランは、買い物以外の楽しみを提供し、交流の場として機能しました。
建築とデザイン
パリのデパートは、その豪華な建築とデザインでも知られています。例えば、ギャラリー・ラファイエットのステンドグラスのドームやプランタンのアール・ヌーヴォー様式のファサードは観光名所ともなっています。これらの建物は、フランスの建築美学の象徴であり、都市景観の一部として文化的価値を持っています。
デパートが経済に与えた影響
雇用創出と経済活動の活性化
パリのデパートは大量の雇用を創出し、地域経済を活性化させています。販売員、マネージャー、清掃員など、多様な職種の雇用機会を提供することで、地元の経済に貢献しています。また、デパート周辺の商業活動も活発化し、レストランやカフェ、専門店など関連するビジネスも繁栄しています。
観光産業への貢献
パリのデパートは観光地としても重要で、多くの観光客を引き寄せています。特に、ギャラリー・ラファイエットやプランタンは、観光ルートに組み込まれており、パリ観光の一部としてショッピングを楽しむ人々が増えています。これにより、観光産業全体の収益が向上し、ホテルやレストランなど関連業界にも経済効果をもたらしています。
流通と消費の拡大
デパートは、商品の流通と消費を促進する重要な役割を果たしています。多様な商品を一箇所で購入できる利便性から、消費者の購買意欲を高めるとともに、メーカーやブランドにとっては新商品の発表やマーケティングの場としても機能しています。これにより、消費の拡大と経済成長が促進されました。
結論
パリのデパートは、フランス文化と密接に結びつきながら、経済にも多大な影響を与えてきました。文化の発信地として、また経済活動の中心として、デパートはパリの都市生活に欠かせない存在となっています。これらの要素を通じて、パリのデパートは地域社会に深く根ざし、その発展を支えています。
