穏やかな毎日から、突然忙しい毎日が始まった…葬儀編

葬儀編 情報

翌朝から、孝子夫妻の生活は一変した。

電話が鳴る。

また鳴る。

葬儀社との打ち合わせ、警察との確認、火葬場の日程、菩提寺への連絡。

姉の名前を何度も口にし、そのたびに「亡くなった」という事実を突きつけられる。

葬儀社の担当者は慣れた様子で、次々と確認を進めていった。

「お写真はこちらでよろしいでしょうか」

差し出された姉の写真を見て、孝子の手が止まった。

そこには、まだ生きている姉がいた。

少し笑っていた。

「……これでお願いします」

声が震えた。

夫は隣で黙っていた。

自分が何かを言えば、孝子の涙が堰を切ってしまうような気がした。

通夜の日。

親族は誰も来なかった。孤独な姉の一生を表すようだった。

しかし、孝子の心は、まだ姉の死に追いついていなかった。

読経の声を聞きながら、

――姉さん、本当に一人で死んだんだ。

そのことばかり考えていた。

あの家で。

誰にも看取られず。

助けを呼ぶこともできず。

最後に何を思ったのだろう。

その問いには、誰にも答えられない。

葬儀が終わり、火葬場へ向かう。

棺が炉の中へ消えていくのを見送ったとき、孝子は初めて、「もう姉には会えない」と実感した。

骨上げを終えると、夫が静かに言った。

「帰ろうか」

孝子は頷いた。

プロフィール
ツネジイ
ツネジイ

はじめまして、70代男性です。
仕事を終えたのを機に、憧れだった夫婦のパリ旅行を実現しました。

出発まで1年かけて図書館で徹底的に調べ、実際に現地を2週間強体験。
その中で感じたのは、事前準備をすればパリは大人世代でも安心して楽しめるということでした。

このブログでは、

・初パリの夫婦旅・一人旅でも安心できる情報
・70代目線での注意点や移動のコツ
・実体験に基づくリアルなアドバイス

をお伝えしています。

これからパリを訪れる方の、不安を減らし、旅をより充実させるお手伝いができれば嬉しいです。

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