分類の考え方
ブランドの分類方法にはさまざまな切り口があり、目的(マーケティング戦略、組織管理、消費者理解など)によって使い分けられます。
一番わかりやすいのは価格であり、比較も容易であるが、価格だけは分類としては不十分と感じる。
それを補うもう一つの軸を考えると、そのブランドの持っている世界観、顧客にどういうアピールをしているか、ということであると思う。
ただ、世界感というと多様な価値、例えば保守的とか、革新的とか、はたまた破壊的とか単純にくくれない。
デザイナーの作品に込める価値観を大きく分けて、保守的、普遍的などを一つのグループにし、それ以外の独自性とか、革新的、革命的なグループをもう一つとする。
この軸については、ある程度筆者の感覚も入っているので、ご容赦ください。
ただこの2つの軸は、個別に比較してもブランドの姿が明確でなく、この2つを組み合わせた軸として見ていくとおぼろげながらも全体像も見えてくるように思われる。
何となくまとめて目次として見やすくするための方便として、分類したというところもありますが。
ファッションブランドの分類
ブランドの分類するにあたって、価格が高いだけという視点では理解しづらくて、その訴えたいコンセプトのような要素を入れれば少しわかりやすく感じる。
価格帯:ハイエンド/ラグジュアリー/プレミアム/コンテンポラリー/カジュアル
ブランド品なのでハイエンドとラグジュアリーとプレミアムにした
世界観:クラシック、モード、ストリート、ミニマル、前衛など
かなりおおざっぱだが、普遍的な美しさを求めたデザイン志向か、デザイナーの個性的な世界観、美学が反映されたブランドに分ける。
ハイエンド× 比較的ベーシック(王道・普遍デザイン)
・エルメス :職人技と時間の価値を尊び、流行に左右されない本質的な美を追求。審美眼を持つ成熟した顧客層を想定。

・カルティエ :王侯貴族文化を背景に、普遍的な愛と格式を宝飾で表現。格調を重視する世界的顧客層を想定。

ハイエンド × デザイナー思想・世界観重視
・ルイヴィトン:ルイ・ヴィトンは高級ブランドで、革新的デザインと品質で歴史を築き、今後もアートとファッションの融合で市場を牽引すると期待されます。

・シャネル :女性の自立と自由を象徴するエレガンスを革新し続ける。芯の強さと洗練を求める女性が対象。

・ディオール :クチュール精神に基づく優雅さと夢を表現。美意識が高くロマンを重んじる顧客に向けたブランド。

ラグジュアリー× 比較的ベーシック(王道・普遍デザイン)
価格は非常に高いが、個性よりも「完成された様式美・普遍性・資産価値」を重視。
・ショーメ :ナポレオン時代から続く詩的な宝飾美学を継承。愛と物語性を重んじる顧客に向けたブランド。
・ティファニー :愛と希望を象徴するジュエリーを提供。人生の節目を大切にする幅広い顧客層を想定。

・ブルガリ :ローマの壮麗さと官能美を体現。大胆で自信に満ちたスタイルを好む顧客向け。

・ゴヤール :秘匿性と伝統を重んじる特別なトランク文化を継承。真の富裕層顧客を想定。

・ヴァンクリーフ&アーペル :詩的で自然を讃える宝飾哲学を追求。物語性と夢を愛する顧客層向け。
・ハリー・ウィンストン :究極の輝きと希少性を追求する宝飾哲学。特別な価値を求める顧客向け。
・バカラグラス :光と職人技が生む究極のクリスタル美。本物の価値を知る顧客層を想定。

・ロレックス :精度と信頼性を極めた時計哲学。成功と実用性を重視する顧客向け。

・ピアジェ :宝飾と時計の融合による優雅な技術美。洗練された富裕層向け。
・グラフ :最高品質のダイヤモンドに特化。究極の輝きを求める顧客向け。
・デルヴォ :世界最古級のレザーメゾンとしての品格。静かな上質を好む顧客向け。
・モラビトモーブッサン :宝飾とレザーの伝統を融合。クラシックな美を愛する顧客向け。
・モンクレール :機能性と都会的洗練を備えたラグジュアリーアウター。活動的な富裕層向け。

ラグジュアリー × デザイナー思想・世界観重視
高価格帯かつ、デザイナーの美学・思想・モード性が購買動機の中心。
・サンローラン :反骨精神と官能性を融合したモードを追求。自己表現を恐れない都会的な感性の顧客向け。

・セリーヌ :無駄を削ぎ落とした知性あるミニマリズムを体現。都会的で自立した大人の女性が中心顧客。

・ジバンシィ :エレガンスとモダンを融合した洗練美を追求。気品と個性を併せ持つ顧客層向け。

・バレンシアガ :既成概念を破壊する前衛的モードを発信。ストリート感覚と実験性を好む層が対象。

・ランバン :パリ最古のクチュールメゾンとしての気品を継承。上質で控えめな美を好む顧客向け。
・グッチ :伝統と大胆な創造性を融合し、自己表現を称揚。個性とラグジュアリーを求める顧客向け。

・ロエベ :クラフトマンシップと知的モダンの融合を追求。本質志向で感度の高い顧客層が対象。
・ブシュロン :自然と自由をテーマにした独創的宝飾を展開。個性と芸術性を求める顧客向け。
・プラダ :知性と実験性を軸にしたモードの探究。ファッションを思考として楽しむ顧客が対象。

・フェンディ :ローマの伝統と革新を融合した力強いラグジュアリー。洗練と存在感を求める顧客向け。
・ルブタン :赤い靴底に象徴される官能的ラグジュアリー。強い自己表現を楽しむ顧客が対象。

・メゾンマルジェラ :匿名性と脱構築を軸にした前衛的思想。概念的モードを好む感度層向け。

・ヴィヴィアンウエストウッド :反体制精神と英国文化を融合。思想性あるファッションを好む顧客層向け。
・ヴァレンティノ :ロマンと荘厳さを併せ持つクチュール精神。美を極めたい顧客向け。

・ヴェルサーチ :大胆さと官能美を前面に出した華やかな世界観。自己主張を楽しむ顧客向け。

・クロムハーツ :反骨とクラフトを融合したラグジュアリー。強い個性と価値観を持つ層向け。

・アライア :身体美を引き立てる完璧なカッティング。造形美を重視する顧客向け。
・ミュウミュウ :無邪気さと知性が交錯するフェミニン表現。遊び心ある女性顧客向け。
・コムデ・ギャルソン :美の概念を問い続ける前衛思想。既成概念に縛られない顧客が対象。

・ジミーチュウ :華やかさと自信を与えるシューズ美学。特別感を求める顧客向け。

・ステラマッカートニー :倫理と美を両立するサステナブル思想。価値観重視の現代的顧客向け。
・ジルサンダー :究極のミニマリズムと素材美を追求。静謐な美を好む大人の顧客向け。

・アレキサンダー・マックイーン :美と闇を融合した劇的表現。思想性と感情を重視する顧客向け。
・ボッテガヴェネタ :ロゴに頼らない職人技と静かな贅沢。本質志向の顧客層が対象。
・バーバリー :英国伝統と革新を融合した機能美。クラシックを現代的に楽しむ顧客向け。

プレミアム&ベーシック
プレミアム価格 × 比較的ベーシック(実用・日常志向)
価格は比較的抑えめで、品質・機能・着回しやすさを重視。
・ロンシャン :実用性とフレンチシックを両立したライフスタイル提案。幅広い世代のアクティブ層を想定。

・エルベシャプリエ :機能美と色彩を楽しむ軽快なバッグを提案。実用性と感性を重視する層が対象。
・ランセル :フランス的エスプリを宿す実用的レザーを展開。日常に上質を求める顧客層を想定。
・カンペール :履き心地と遊び心を重視した靴作り。個性と快適さを求める生活者向け。
・スワロフスキー :クリスタルの輝きで日常に喜びを提供。華やかさを楽しむ幅広い層を想定。
・フェラガモ :履き心地と品格を重視したイタリアンエレガンス。実用美を求める顧客向け。
・アルマーニ(メインライン除く) :無駄を排した洗練された美学を追求。静かな自信を持つ大人の顧客が対象。
・セント・ジェームス :海洋文化に根ざした質実剛健な服作り。普遍性を好む生活者層を想定。
・コーチ :手の届くラグジュアリーと実用性を重視。都市生活者を中心に幅広く対応。
・レペット :バレエシューズ由来の軽やかで優美な靴作り。繊細な美意識を持つ顧客が対象。
・プティバトー :肌に優しい品質と普遍的デザイン。家族全体を想定したライフスタイルブランド。
・トリーバーチ :前向きな女性像を支える実用的ラグジュアリー。働く女性層を中心に想定。
・ポール・スミス :英国的クラシックに遊び心を加える。色彩と個性を楽しむ大人の顧客向け。
・ケンゾー :多文化融合と自由な色彩感覚を表現。国際的感性を持つ若年層が対象。
・ゲラン :自然と科学を融合した美の探究。香りと美を深く愛する顧客向け。
・COS :建築的でミニマルな日常着を提案。思考的で実用性重視の顧客が対象。
・BA&SH :自由で女性らしいパリジェンヌ像を体現。自然体のおしゃれを好む層向け。
・デルセー :移動の快適さとエレガンスを追求。洗練された旅行者層を想定。
・オメガスピード :探究心と技術革新を象徴する計時文化。挑戦を好むプロフェッショナル向け。
・ヴァレクストア :機能美とミニマルを極めたレザー。知的で実用重視の顧客層向け。
・マークジェイ :都会的で実用的なデザインを重視。日常に洗練を求める顧客向け。
・TODS :イタリア職人技による快適な上質靴。実用と品格を求める顧客向け。
・アペーセ :日常に溶け込む誠実な服作り。シンプルを愛する都市生活者向け。
プレミアム&デザイン志向
プレミアム価格 × デザイン・思想重視(感性・編集型)
超高級ではないが、デザイン性・価値観・世界観への共感が選択理由。
・ニナリッチ :フェミニンで優美な世界観を香りと装いで表現。上品さを好む女性顧客を中心に想定。
・クロエ :自由で柔らかなフェミニニティを表現。自然体で現代的な女性を主な対象とする。
・エトロ :ペイズリーに象徴される旅と文化の融合。個性的で芸術志向の顧客向け。
・ロジェ・ヴィヴィエ :建築的発想によるエレガントな靴作り。洗練された女性顧客を想定。
・シュプリーム :ストリート文化を象徴する反骨精神。限定性とカルチャーを愛する層向け。
・ポレーヌ :造形美と機能性を備えた現代的レザー。感度の高い都市生活者向け。
・クレージュ :未来的で軽快なフレンチモダン。若々しく自由な感性を持つ層向け。
・ジャクムス :南仏の陽気さと詩情を反映。軽やかで感覚的なモードを好む層向け。
・GANNI :サステナブルで等身大の北欧モード。自立した現代女性を想定。
・RSVP :文化とファッションをつなぐ編集的視点。感度の高いクリエイティブ層向け。
・スール :丁寧なものづくりと日常美を重視。穏やかな感性を持つ生活者向け。
・ラルフ・ローレン(デザインライン) :理想化されたアメリカンライフスタイルを提案。上質な日常を求める層が対象。
・アミパリ :友情と親しみを軸にした現代的モード。等身大のおしゃれを楽しむ層向け。
・ポメラート :色石を主役にした自由な宝飾表現。個性と遊び心を持つ顧客向け。
・ルメール :静かな佇まいと日常性を重視。長く着る美を理解する顧客向け。
・ミチノパリ :日本的感性とパリの技術融合。知的で控えめな美を好む層向け。
・アニエスベー :日常に寄り添うシンプルで誠実なデザインを重視。感性豊かな幅広い世代を想定。
・ダンヒル :英国紳士の実用美と品格を体現。成熟した男性顧客を主な対象とする。
まとめ
ブランドの分類をしてみたが、このブログの見出しのために無理無理という感じもしています。あいうえお順にしてもよかったなと言われないように頑張りました。
